「オルリスタットってやばいの?」
「オルリスタットは飲んでも痩せない?」
SNSや掲示板等でこんな不安を見かけたこともあると思います。
実際、「油漏れ」や「便もれ」、「肝機能障害」といった副作用が話題になることもあります。
しかし、正しく使えば効果的に体重を減らす助けになる薬です。
この記事では、オルリスタットが”やばい”と言われる理由と、効果や副作用、安全な入手方法について、医療情報にもとづいて説明します。
著者 | 細海 晃央 |
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保有資格 | 薬剤師免許 |
オルリスタットとは
オルリスタットは、消化管内で脂肪を分解する酵素リパーゼの働きをさまたげ、食事に由来する脂質の吸収を抑制します。
医療用医薬品としては、120mgカプセルがヨーロッパやアメリカなど100か国以上で承認されています。
また、一般用医薬品(OTC)として60mgカプセルが、ヨーロッパやアメリカなど70か国以上で承認されています。
世界中に流通している「オルリスタット」製品は、以下の通りです。
製品名 | 有効成分 (オルリスタット)量 | 形態 | 承認状況・販売地域 |
---|---|---|---|
ゼニカル | 120mg | 医療用医薬品 | 欧米100カ国以上で処方薬として承認 ※日本未承認 |
オルリファスト | 60mg/120mg | ジェネリック医薬品 | 海外で販売個人輸入等で入手可能 |
アライ | 60mg | OTC(要指導医薬品) | 欧米70カ国以上でOTCとして販売 |
日本では薬剤師の指導の下でアライが、薬局にて購入できます。
ここでは、次の内容について説明します。
- オルリファストはゼニカルのジェネリック医薬品
- 日本で発売されている「アライ」はオルリスタットの量が少ない
- 日本でオルリスタット120mgの開発が中止になった理由
- 効能・効果
- メカニズム
オルリファストはゼニカルのジェネリック医薬品
「ゼニカル」は、スイスのロシュ(Roche)社が開発した先発品です。
「オルリファスト」は「ゼニカル」のジェネリック医薬品で、海外で120mgと60mgのカプセルが販売されています。
「ゼニカル」「オルリファスト」はそれぞれ商品名で、成分名(一般名)は「オルリスタット」です。
国内では、オルリスタット60mgの製品が、「アライ」という商品名で販売されています。
日本で販売されている「アライ」はオルリスタットの量が少ない
「アライ」は1カプセル中にオルリスタットを60mg含む一般用医薬品(OTC)で、国内で2024年4月8日に発売されました。
アライは要指導医薬品のため、薬剤師がいる薬局・薬店のみで購入できます。
購入には一定の条件があります。
- 服用3か月前から続けて生活習慣の改善を行う
- 初回購入の1か月前から、生活習慣改善の記録が必要
なお、国内でもオルリスタット120mgの開発が進んでいましたが、開発は中止となりました。
(参考:大正製薬 日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」発売! アライ ブランドサイト)
日本でオルリスタット120mgの開発が中止になった理由
日本では中外製薬が医療用医薬品としてオルリスタット120mgの開発を進めていました。
しかし、2005年4月に“開発のハードルの高さと開発パイプラインの優先順位を総合的に勘案”した結果、開発は中止になりました。
(参考:ミクスon-line)
そのため、国内でオルリスタット120mgを入手するには、取り扱いのあるクリニック等で、自由診療で処方してもらうか、個人輸入が考えられます。
しかし個人輸入は、品質や安全性の観点からおすすめできません。
オルリスタットの効能・効果
ここでは、先発品である「ゼニカル(一般名:オルリスタット)」の効能・効果を紹介します。
【効能・効果】
- 減量および体重維持を目的とした肥満管理のため、低カロリー食と併用して使用すること
- 減量後のリバウンド予防(体重再増加リスクの軽減)
【対象となる患者】
- 初期のボディマス指数(BMI)が30 kg/m²以上の肥満患者
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの他のリスク要因を持つ、BMIが27 kg/m²以上の肥満患者
(参考:FDA ゼニカル 添付文書)
肥満管理やリバウンド防止のため、BMIや生活習慣病リスクに応じて医師の管理下で使用されます。
オルリスタットのメカニズム
オルリスタットは、飲食物に含まれる脂肪が体内へ吸収されるのをおさえる薬です。
飲食物に含まれる脂肪は、胃や腸などで消化酵素リパーゼにより分解されて体内に吸収されます。
この薬を飲むと、リパーゼの働きがおさえられ、飲食物からとった脂肪のおよそ25~30%が吸収されずに便として排出されます。
体内に取り込む脂肪量が減るので、内臓脂肪と腹囲が減少するのです。
一方で、脂肪が便中に排泄されるため、油もれや、おならをした時に一緒に便や油が出てしまうという副作用が見られます。
オルリスタットの副作用はやばい?
この薬の副作用を紹介します。
人によっては、「やばい」と思われる方もいるかもしれません。
- 油もれ・便を伴うおなら
- 重大な副作用(肝障害・ショック・腎結石)
- その他の副作用(脂溶性ビタミンの減少に伴う症状)
それぞれ解説します。
▼油もれ・便や油を伴うおなら
この薬の副作用で多いのが、「肛門からもれる油や便」です。
これは、薬が脂肪の吸収をブロックするため、行き場を失った脂肪がそのまま排出されるからです。
特に脂っこい食事をとった後は、おならと一緒に油や便が出てしまうこともあります。
オルリスタットを服用した方の感想を見てみると、「とてつもなく臭い油」が肛門からもれるそうです。このもれた油は、ズボンやスカートまでしみ込み、座っている椅子に油がついてしまうとレポートされていました。外出中でこのような状況が起こると、大惨事になる恐れがあります。
これらの副作用はいつからあらわれていつまで続くか
油もれやおならと一緒に便や油が出てしまう症状は「胃腸障害」に分類されています。
オルリスタットを服用したいくつかの研究をまとめた文献報告では、
胃腸障害のほとんどは、軽度から中等度であり、4週間以上持続しませんでした。通常、治療開始から1週間以内に発生し、治療を継続すると減少した。
(参考: Heck AM, et al.: Pharmacotherapy, 20: 270-9, 2000. )
と、報告されています。
個人差はありますが、この薬を飲み始めてから1週間以内に症状があらわれ、飲み続けて4週間以内には症状は治まるようです。
油漏れ・便もれの対策
この薬の影響で便に出てくる脂肪の量は、飲食物に含まれる脂肪の量と比例すると考えられています。
したがって、脂肪分の多い食事を避けることで、油もれや便や油を伴うおならが軽減できる可能性があります。
そのほか、アライの販売会社では次の対処方法を紹介しています。
- 下着にパッド(ナプキン)をつける
※パッドやナプキン(便もれ用、生理用、尿もれ用など)は、肛門周りをカバーできる大きさや厚みのあるものがおすすめです。使用する際は、肌とパッドやナプキンの間に空間ができにくい下着(ボクサーパンツ等)を着用することが効果的です。- 替えの下着を準備しておく
- おならが出そうな時や便意があるときはすぐにトイレに行くようにする
- 外出時はトイレの場所を把握しておく
大正製薬 アライ 情報提供資料より引用
コントロールできない油もれ、便もれにより、この薬は”やばい”と思われる方も多いかもしれません。
重大な副作用(肝障害・ショック・腎結石)
重大な副作用として、まれではあるものの次の副作用があらわれることがあります。
症状の名称 | 症状 |
---|---|
ショック(アナフィラキシー) | 服用後すぐに皮膚のかゆみ、じんましん、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、息苦しさ、動悸、意識の混濁 等 |
肝機能障害 | 発熱、かゆみ、発疹、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、褐色尿、全身のだるさ、食欲不振 等 |
腎結石 | 結石が尿管内を移動する時などに、激しい腹痛があらわれ、吐き気・嘔吐を伴うことがある。 血尿が見られる場合もある。 |
(参考:アライ 添付文書)
これらの症状があらわれたら、すぐに医師に相談してください。
なお、重度の肝障害については、ヨーロッパやアメリカの薬の説明書にて注意喚起しています。
肝障害のアメリカでの報告
米国食品医薬品局(FDA)によると、
1999年から2009年の間に、オルリスタット120mg(医療用)か60mg(OTC)を使用した世界中の約4,000万人のうち、120mg使用の12人と60mg使用者1人で重度な肝機能障害が認められました。
しかし、この薬と肝機能障害の因果関係は明確ではないと結論づけられています。
(参考:FDA Drug Safety Communication ・ アライ 審議結果報告書)
肝障害のヨーロッパでの報告
ヨーロッパでは、1998年に医療用の120mgカプセルが発売されてから、いくつかの肝機能障害に関連する報告を受けて、薬の説明書に注意書きが追加されました。
その後、欧州医薬品庁(EMA)において、肝機能障害について調査したところ、この薬による重大な肝機能障害があらわれる頻度は、薬を飲まない人が肝機能障害を発現する頻度よりも低いことがわかりました。
これにより、次のように結論付けられています。
- オルリスタットが重大な肝機能障害を増加させる強い根拠はない
- この薬による効果はリスク(悪い点)を上回る
(参考:European Medicines Agency. 24/4/2012 ・ アライ 審議結果報告書)
このように、オルリスタットが肝機能障害を引き起こすかは明確になっていないものの、注意は必要です。
その他の副作用(脂溶性ビタミンの減少に伴う症状)
オルリスタットのはたらきにより、油に溶けやすいビタミンも一緒に排泄される可能性があります。
具体的には、次のような症状があらわれやすくなります。
脂溶性ビタミン | 脂溶性ビタミンの減少に伴う症状 |
---|---|
ビタミンA | 目の違和感(夜間視力の低下、目の乾燥等)、皮膚の違和感(皮膚が硬くなる、カサカサになる等)、繰り返しの感染症の発症、発熱、発疹・発赤等 |
ビタミンD | 腰・関節・骨の痛み、骨折、筋力の低下、筋肉の痛み等 |
ビタミンE | 貧血(ふらつき、息切れ、動悸等)、しびれ・知覚鈍麻等の神経症状等 |
ビタミンK | 青あざができる、鼻血、腹部不快感、黒色便の持続、血便、脱力、疲労を感じやすい、めまい、生理出血量の増加、血尿等 |
(参考:アライ 添付文書)
なおアライでは、
「日本人が使用した場合、脂溶性ビタミンに関する安全性上の問題が生じる可能性は低い」と考えられています。
そのため、情報提供資料には「食事以外での脂溶性ビタミンの摂取は可能」という記載です。
(参考:大正製薬 アライ 情報提供資料)
オルリスタット120mg製品であるゼニカルでは、
を推奨しています。
(参考:FDA ゼニカル 添付文書)
ただし、脂溶性ビタミンは、摂取しすぎると身体によくない症状がでることがあります。
ビタミンのサプリメントを服用するかどうかについては、医師の指示に従いましょう。
オルリスタットにより命にかかわる危険性は低い
オルリスタットについて調べていると、癌や死亡といったキーワードが出てくることがあります。
不安に思う方もいると思うので、実際にオルリスタットを飲むと癌になるのか、死亡例はどのくらいあるのか調べました。
- 大腸癌
- 乳癌
- 動物実験による発癌性
- 死亡例
大腸癌の可能性は低い
この薬が大腸癌の危険性を高める可能性について、はっきりと関係があることを示した研究報告は確認できませんでした。
この薬を使用した人と、使用しなかった人の大腸癌の発生について比較した研究があります。
10万人が1年間この薬を飲んだ場合、大腸がんになる人はだいたい53人でした。この薬を飲まなかった場合は、大腸がんになる人はだいたい50人でした。
(参考:Hong JL, et al.:BMJ. 2013 Aug 27 : 347 : f5039.)
この結果より、オルリスタットは大腸癌の危険性と関係しないことが示されました。
しかし、研究期間が約3年と短いため、長く使い続けると大腸癌になる可能性は否定できないと結論付けています。
乳癌の可能性は低い
オルリスタットを服用したいくつかの研究をまとめた報告において、乳癌について記載されています。
乳癌はこの薬を使用したグループで12人、この薬を使用しなかったグループでは2人見つかりました。
しかし、調査の結果、この薬を使用する前からすでに癌が存在していた可能性が高いと結論付けられています。
また、その後におこなわれた別の試験では、薬を服用したグループでは1人、服用しなかったグループでは6人が乳癌と診断されました。
これらの結果や、オルリスタットが体内に吸収される量は少ないことから考えて、乳癌は偶然の結果である可能性が最も高いと結論付けられています。
(参考: Heck AM, et al.: Pharmacotherapy, 20: 270-9, 2000. )
動物実験で発癌性の可能性は低い
マウスとラットに、2年間この薬を飲ませ続ける実験をおこないました。
結果として、この薬による癌の発生は見つかりませんでした。
(参考:アライ 審議結果報告書)
以上の試験結果から、オルリスタットによる癌の可能性は低いと考えられます。
死亡例
日本人における検討は、大正製薬のアライ(オルリスタット60mg)でおこなわれています。
資料によると、死亡に至ったケースは認められませんでした。
(参考:アライ 審議結果報告書)
米国食品医薬品局(FDA)の調査では、1999年から2009年の間に世界中でオルリスタット(120mg・60mg)を服用した約4,000万人のうち、13人に重度の肝障害が報告されました。
そのうち2人が肝硬変により死亡しています。
(参考:FDA Drug Safety Communication ・ 医薬品安全性情報Vol.8 No.14(2010/07/08) )
現時点では、この薬と肝機能障害の関係性について明らかになっていないことから、死亡への影響も不明といえるでしょう。
オルリスタット服用時の注意点
ここでは、医療用医薬品であるゼニカル(オルリスタット120mg)の、医療関係者向け説明書の内容を紹介します。
- 飲み方
- 服用できる人
- 飲んではいけない人
- 併用禁忌薬
- 併用注意薬
飲み方
1回1カプセルを1日3回、脂肪を含む食事と一緒に、食事中又は食後1時間以内に服用します。
飲み忘れたときは
ゼニカルの説明書には記載が確認できませんでしたが、アライのQ&Aには以下の記載があります。
食後1時間以内であれば服用してください。食後1時間以上経過した場合は、効果が減弱する可能性があるため、服用せずに次回の食事の際に服用してください。
引用: 大正製薬 アライ よくあるご質問
その他の注意
– カロリーの約30%を脂肪から摂取する栄養バランスの取れた低カロリー食を摂取するよう患者に助言する。
– 脂肪、炭水化物、タンパク質の1日の摂取量を3回の主食に配分する。
– 食事を摂らない場合や、食事に脂肪分を含まない場合は、投与を省略できます。
– 十分な栄養を確保するために、脂溶性ビタミンを含むマルチビタミンを摂取するよう患者に助言する。
– 就寝時など、ゼニカルの投与前後少なくとも2時間以内にビタミン剤を服用すること。
(参考:FDA ゼニカル 添付文書)
服用できる人
オルリスタット120mgを服用できる人は、次の通りです。
- 18歳以上
- 初期の体格指数(BMI)が30kg/m²以上、または27kg/m²以上で他にリスク要因(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)を持つ肥満患者
(参考:FDA ゼニカル 添付文書)
※国内で販売されているアライは、服用できる人に腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)の制限がありますが、ゼニカルにはこのような制限はありません。
飲んではいけない人
オルリスタット120mgを服用できない人は、次の通りです。
服用できない人 | 理由 |
---|---|
妊婦 | 胎児に影響を与える可能性があります。 |
慢性吸収不良症候群の方 | 栄養吸収が著しく妨げられるリスクがあります。 |
胆汁うっ滞者 | オルリスタットの正常な作用が妨げられる可能性があります。 |
オルリスタットや製品の成分に対して過敏症のある方 | 以前にアレルギー反応を起こした経験がある人は、再び症状があらわれる可能性があります。 |
(参考:FDA ゼニカル 添付文書)
※国内で販売されているアライとは記載内容に違いがあります。
併用禁忌薬
併用できない薬はありません。
併用注意薬
併用する場合に注意しなくてはならない薬があります。
薬と理由は次の通りです。
併用に注意が必要な薬 | 理由 等 |
---|---|
シクロスポリン | 同時に服用すると、シクロスポリンの血中濃度が低下します。シクロスポリンはオルリスタットの3時間後に投与します。 |
脂溶性ビタミンのサプリメント(ビタミンA・D・E・K・βカロテン) | βカロテンやビタミンEを投与した場合、吸収が低下しました。ビタミンD、A、食事由来のビタミンKに対する影響は不明です。 |
レボチロキシン | 甲状腺ホルモンの吸収が低下し、甲状腺機能低下症のリスクが上昇するため、それぞれの服用は少なくとも4時間あけます。 |
ワルファリン等の抗凝固薬 | ビタミンKの吸収が阻害される恐れがあります。抗凝固薬を服用した患者で、併用することで止血異常が報告されています。 |
アミオダロン | 併用によりアミオダロンの血中濃度が低下するため、アミオダロンの効果が弱くなる可能性があります。 |
抗てんかん薬 | 併用により、けいれんが報告されています。 |
抗レトロウイルス薬 | 特定の抗HIV治療薬を併用した場合、ウイルスコントロールが効かなくなるといった報告があります。 |
(参考:FDA ゼニカル 添付文書)
これらの薬を飲んでいる方がオルリスタットを併用する場合、モニタリングが必要です。
医師に必ず状況を伝えてください。
※国内で販売されているアライとは記載内容に違いがあります。
オルリスタットの効果
オルリスタットは飲食物に由来する脂肪の約25~30%の吸収を抑え、摂取カロリーの減少により体重が減ります。
効果の実感には個人差がありますが、通常は4週間程度で体重の変化を感じはじめるでしょう。
なお、薬だけでなく、生活習慣の改善(食事と運動)をあわせて行うことが大切です。
体重維持やリバウンド抑制を期待するために、継続して服用しましょう。
効果について、詳しく説明します。
- 体重減少効果
- 効果はどれくらいから見られるか
体重減少効果は?オルリスタットでは痩せない?
アメリカのデータですが、オルリスタット120mgを服用すると、1年間で8.76kg体重が減少したという報告があります。
1年(52週)間の体重減少は次の通りでした。・オルリスタット120mgを飲んだグループ: 平均8.76kg減少・オルリスタットを飲まないグループ: 平均5.81 kg減少結果として、この薬を飲んだグループは明らかに体重減少が認められました。
さらに2年目は食事内容を変更し、引き続きこの薬を継続して服用しました。
2年(104週)目の結果オルリスタット120mgを継続したグループは、最初の体重から7.6%の減少を維持飲まないグループは、4.5%の体重減少
(参考:Davidson MH et al., JAMA 1999 Jan 20;281(3):235-42.)
このように、オルリスタットは体重減少だけではなく、体重維持やリバウンドの抑制にも効果的で、あわせて肥満に関連するリスク(LDLコレステロールやインスリン値など)の改善効果も認められています。
効果はどれくらいから見られるか
ゼニカルの医療関係者向け薬の説明書には、次のように記載されています。
Based on fecal fat measurements, the effect of XENICAL is seen as soon as 24 to 48 hours after dosing. Upon discontinuation of therapy, fecal fat content usually returns to pretreatment levels within 48 to 72 hours.
日本語に訳すと次の通りです。
・糞便脂肪測定に基づくと、ゼニカルの効果は投与後24~48時間で認められる。
・治療を中止すると、糞便脂肪量は通常48~72時間以内に治療前のレベルに戻る。
なお、体重減少を検討した研究では、この薬を飲んでから8週間後には体重の減少が確認できます。
(参考:Davidson MH et al., JAMA 1999 Jan 20;281(3):235-42.)
薬の効き方には個人差がありますが、効果を維持するためには継続的な服用が必要です。
オルリスタット120mgはどこで入手できますか?
オルリスタット120mgは、国内で市販されていません。
取り扱いのあるクリニックやオンライン診療等で、自由診療で処方してもらうか、個人輸入が考えられます。
しかし個人輸入は、品質や安全性の観点からおすすめできません。
個人輸入を避けるべき理由
個人輸入がお勧めできない理由は、次の通りです。
- 品質の問題
- 安全性・健康被害の問題
それぞれ解説します。
品質のリスク
個人輸入した医薬品には、偽造品や不純物が混在している可能性があります。有効成分の量が、表示通り含まれていない場合もあり、品質の保障が一切ありません。
このような薬を服用すると、期待する効果が得られないだけでなく、健康被害を引き起こす恐れもあります。
安全性・健康被害のリスク
医師の診断を受けずに医薬品を使用すると、誤った服用や薬同士の相互作用によって健康被害が生じる可能性があります。
すべての医薬品の個人輸入は、品質・安全性リスクが非常に高く避けるべきです。
医薬品を入手する際は、安全性を確保するためにも、必ず医師の診察を受けましょう。
なお、厚生労働省や政府広報オンラインにて、医薬品の個人輸入に関して、注意喚起しています。
(参考:厚生労働省|医薬品等を海外から購入しようとされる方へ ・ 政府広報オンライン|健康被害などリスクにご注意! 海外からの医薬品の個人輸入)
Q&A
- 1日3回毎日服用しなくてはいけませんか?
-
この薬は、1日3回の服用が基本です。
しかし、食事を摂らない場合や、脂肪分が少ない食事をとった場合は、服用をスキップできます。
- オルリスタットは飲み続けても問題ないですか?
-
医師の指導のもと、継続した服用が推奨される薬です。
しかし副作用の出方や体調に応じて、医師に相談の上、指示に従って服用してください。
- オルリスタットが向いている人は?
-
初期の体格指数(BMI)が30kg/m²以上、または27kg/m²以上で他にリスク要因があり、脂肪の多い食事が好きな方に効果的です。
炭水化物中心の食生活では、効果が実感しにくい場合があります。
- アライとの違いは?
-
オルリスタット120mgとは投与量が異なります。
アライのオルリスタット含有量は、半分の60mgです。
オルリスタットの脂肪を便に排泄する効果は投与量に比例するため、120mgでより高い効果が期待できます。
(参考:Zhi J, et al., Clin Pharmacol Ther. 1994 Jul;56(1):82-5.)
また、国内で販売されているアライは、服用にあたり一定の条件があります。
- 服用3か月前から続けて生活習慣の改善を行う
- 初回購入の1か月前から、生活習慣改善の記録が必要
(参考:大正製薬 アライ チェックシート ・ アライ 情報提供資料)
しかし、オルリスタット120mgを医師に処方してもらう場合は、このような条件はありません。
オルリスタット120mgの料金
この薬は日本では承認されていないため、クリニック等で購入する場合は保険が適用されず、自由診療となります。
料金は病院やクリニックによって異なりますが、オンライン診療では比較的安く購入できることが多いです。
オンライン診療を提供する医療機関はたくさんあるので、比較して最安値を探すことも可能です。
なお、オンライン診療は、DMMオンラインクリニックがおすすめです。
診察にかかる費用は無料で、薬代と配送料だけなので、費用を抑えて薬が購入できます。
【DMMオンラインクリニックにおける、オルリスタット120mgの料金】
オルリスタットの安全性を理解して安心して服用しましょう
オルリスタットの安全性と効果について説明してきました。
この薬がやばいと言われる理由については、自分ではコントロールできない油もれや便もれをおこす可能性があるためと考えられます。
対処方法は、下着にパッドをつける、替えの下着を用意するといった、予防が考えられます。
個人差はあるものの、薬を飲み始めてから4週間以内に症状はおさまるので、オルリスタットの体重減少効果が気になる方は、取り扱いのある病院やクリニックに相談してみてください。
副作用対策をしっかりして、安心して服用を始めましょう。
オルリスタットについて
未承認医薬品等
本診療科目に用いるオルリスタットは、国内未承認の医薬品です。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
入手経路等
提携クリニックが本治療に用いる海外製の医薬品・機器等は厚生局の正式なプロセスを経て、提携クリニック所属の医師の判断の下、個人輸入をしたものになります。
国内の承認医薬品等の有無
国内において肥満症治療薬として承認されている同量かつ同一成分の医薬品はありません。
諸外国における安全性等に係る情報
アメリカ食品医薬品局(FDA)において肥満治療薬として承認されています。
(参考:DMMオンラインクリニック)